2021年01月10日

武内涼作品

ここ数年、武内涼先生の小説にはまっています。
筆力、エンタメ性、登場人物の魅力的に惹かれて「また次も読もう」で気づけば14冊め。

史実を背景にしたお話が多くて勉強になるのですが、
ついでに時代順に並べてみました。
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1175年…『源平妖乱 信州吸血城』
 血吸い鬼と戦う鬼狩り集団"影御先"と、その一員である若き源義経の戦い

室町時代(1430-40年くらい?)…『はぐれ馬借』

1457年…『吉野太平記(上下)』
 日野富子の妹、幸子が戦を防ぐため忍びに守られつつ隠密の旅に出る

1561年…『暗殺者 野風』
 刺客の少女、野風が上杉謙信の暗殺を狙う

1568年…『戦都の陰陽師』
 最初に読んだ武内涼作品
 魔の復活を防ぐため、晴明の末裔・土御門光子が藤林党の忍びたちに護衛されながら
 出雲の霊剣を取りにいく旅に出る……そう、これFF10なんですよ!
 忍者ひとりひとりが個性的でカッコいいのもポイントです

1569年…『戦都の陰陽師 騒乱ノ奈良/迷宮城』
 続編ですが、史実をもとにしているためバッドエンドが多くなる武内先生の話の中では
 めずらしく、ファンタジー路線なためかハッピーエンド路線で良かったです

1581年…『忍びの森』
 2つめに読んだ武内作品でデビュー作
 伊賀忍びの一行と妖怪の死闘ですが、これも大変面白いです

1584年…『秀吉を討て』
 秀吉を暗殺しようとする根来衆の忍び、僧兵の話

1595年…『駒姫 三条河原異聞』
 最上義光の愛娘、駒姫は豊臣秀次の側室となるべく京に向かうのだが……
 秀吉を討てに続いて秀吉が敵役となっているので、一気にアンチになってしまった(笑)

江戸時代中期(1700年くらい?)…『忍び道 忍者の学舎開校の巻』『忍び道 利根川激闘の巻』
 泰平の世が訪れたが、忍びの技を伝えるため忍者学校が開かれる
 今後もシリーズ化してほしい!

江戸時代中期(1750年くらい?)…『妖草師』
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やはりというか戦国時代が多いですね。
新作が1590年代ということもあって色々調べてもいるのですが、
動乱の時代なので濃いんですよね、出来事も人物も。
(というか戦都の陰陽師ってもっと前の時代の話だと思ってた…)
とにもかくにも、ハードな歴史ものからエンタメ快作もあり、どれもオススメです。
posted by ひづめ at 20:21| Comment(0) | 書籍/映画

2020年11月26日

『天生の狐』

この間読んだ志坂圭さんの『天生の狐』、大変面白かったです。

主人公の紺は、山奥に隠居する老忍に育てられた田舎娘。
帯では忍娘って紹介されていますが、本格的な忍びではないですね。
素性的にも元は武士の娘で、どちらにもなりきれない描写が多い。

江戸中期の飛騨の一揆(大原騒動)を背景にしていて、
関係した実在の人物も出てくる。
そういった大きな出来事に関与しているうちに、
紺が成長していく青春もの半生記という雰囲気。
復讐の話も、そこまで比重が重くない。格上の相手に勝つために
剣を学ぼうと道場編が始まったりして、じっくり描かれてる。

とにかく紺の性格が面白い。すれっからしだけど根はいい子だったりして。
誰に対してもだいたい皮肉を言ってるけど、妙に可愛げがあるのよね。
忍びの技を仕込まれてるのでチンピラ程度には負けないけど、
武士や浪人の斬り合いにはびびったりする小娘らしい匙加減とか。

最後に忍びとしての任務が下りますが、それが話のいい締めになる。
忍者のお話を色々読んでいると、諜報活動のために国に入り
町民として暮らして、数十年たってもう忘れた頃に密命が下る……
というのをよく見ますが、実際にそういうのあったのかしら。
 
posted by ひづめ at 14:43| Comment(0) | 書籍/映画

2020年11月01日

『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』

先日、『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』を読みました。
格闘少女育成SLGとか作ってるくらいなので、格闘技、武道には
そこそこ興味があるのですが面白いんですよね、まつわるエピソードが。



さて柔道の嘉納治五郎、空手の大山倍達、プロレスラーの力道山なんかは
格闘技にさほど興味がない人でも「名前くらいは……」という感じかと思いますが、
木村政彦は全くといっていいほど認知されていなかったのですね。
天覧試合や全日本選手権を制し、総合格闘技ブームの来る遥か昔にグレイシー柔術の
創始者エリオ・グレイシーと対戦して勝利を収め、最強の柔道家と呼ばれた……
そんな人物なのに何故か?というと柔道界から名を抹消されていたからで、
その事実を追いかけたノンフィクションなのですが、700Pと辞書なみに分厚く、
単純に戦前、戦後の様子も伝わってくるという意味でも読み応えがあります。
イップマンとかも面白いので、考えると戦前、戦後という激動の時代に
生き抜こう、伝えようという武道関係の題材に魅力を感じているのかも。

読み始める前は、歴史から消されて日陰者として生きていくことになった
半生記になるのかと思ってましたが、読み終えてみると意外とそうでもなく。
若年は柔道に没頭、邁進していく青春劇だし、確かに晩年は表舞台からは
離れてしまったけど、因縁の力道山は刺されて早世したのに対し、
木村氏は長生きして育てた弟子も立派な柔道家になった。
そう考えるとなんともいえないものがありますね。
とりあえず今はこうして名誉も回復しつつあって、それは良かったのではないでしょうか。
posted by ひづめ at 15:47| Comment(0) | 書籍/映画

2019年07月29日

『幕が上がる』

映画『幕が上がる』を観ました。(アマプラで)

 
映像化ということで 当然というか原作から変わっているところがあったり
気になるところがありましたが 青春小説としてイイ感じでした。
原作は劇作家の平田オリザさんで 高校演劇を題材にしています。

個人的にゲームシナリオって 演劇に通じるものがあると思っているのですよね。
2Dにしろ3Dにしろ ベースは会話劇で見せていくところとか。
舞台って立ち位置や どう動くか どうハケるか といったところを
計画して演出してると思いますけど ゲームも同じですしね。
3Dでの演出つけも何度かやったことがありますが
シーンを流れとして 組んでいくの楽しいんですよね。

そんなわけで演劇 演出関係の本をいくつか読んでいたなかで
平田オリザさんの本もありまして。
 
実践的で タメになる演出法が載っているのですが
そんな作者さんがズバリ演劇をモチーフに小説を出したということで
原作を読んでいたのでした。

やっぱり部活ものとか学園青春ものはいいですよね。
私 特に演劇を観てるとかいうわけでもないのですが 題材として魅力を感じていて
業界入りする前から 演劇を題材にしたゲームの企画書を何度も書いてるんですよ。
同人ゲームとしてでも いつか作れる機会があるといいなぁ……
posted by ひづめ at 18:17| Comment(1) | 書籍/映画

2017年02月18日

『マグニフィセントセブン』

マグニフィセントセブンを観てきました!
「七人の侍」を原案にした「荒野の七人」のリメイク映画ですよ!

けっこうがらっと変わっている印象でしたが、観ていると
オリジナルを彷彿とさせる展開や要素がちょこちょこ出てきてニヤリ。
やはりこのシリーズ?は前半の仲間集めのシークェンスが楽しいんですよね。
そして仲間がバタバタ死んでしまうところが他の作品にない特徴なのかも。
メインキャラが7人って多いほうだし、死人が出ても精々ひとりくらいが普通なのに、
半分以上が戦死してしまう。そこで前半たっぷり使った仲間集めが活きてくるわけですね。
感情移入したところで倒れてしまうという無常感。
そういう意味では、もうちょっと仲間たちの掘り下げや村人との交流に
時間を使ってほしかった感も。後半ちょっとあっさり感ありましたね、痛快娯楽映画的な。

ちなみにオリジナルには3本も続編があるけど、これがなかなかヒドくてね……w

しかし、近年は西部劇が作られる本数は減っているものの、
そのぶんどれもいい作品ばっかりという印象。
今年はついにオープンワールド西部劇『Red Dead Redemption』の続編が出ますし、
楽しみですねぇ!
posted by ひづめ at 22:14| Comment(0) | 書籍/映画

2016年09月11日

『ヴァルキリーズ』『アルケミスト』『星の巡礼』

日、パウロ・コエーリョの『ヴァルキリーズ』が出ていたのを知って、
さっそく購入して読みました。

自分は本は人並みにそれなりに読む程度ですが、
愛読書はなに?とか人に薦めるならなに?という意味で1冊選ぶなら
パウロの『アルケミスト』か『星の巡礼』を選びます。

『アルケミスト』は、人生について回るしがらみは実はいつだって振り払えるし、
君はいつでも夢を探しに旅に出ることができるんだよ、ということを教えてくれる童話。
初めて読んだのが15年くらい前の、自分は就職とかどうすればいいのかなーと
思っていた頃なので、色々とはっとさせられました。(その結果が今の体たらくだよ!)

『星の巡礼』は作者のパウロがスペインを横断して聖地サンチャゴを目指す巡礼をした時の
回顧録みたいなもの。(サンチャゴ巡礼は有名で映画とかもあったりする)
こっちは現実の旅をしているもののスピリチュアルな内容である意味ファンタジーながら
これだって行こうとすれば確かに行けるんだな、と思わせてくれるのがいい。
死ぬまでに一度サンチャゴ巡礼してみたいなぁ。

『ヴァルキリーズ』はその数年後にまた自分探しするような話で、星の巡礼のあとがきに
載っていたもののなかなか翻訳されなくて、長いこと待ってようやく今年出たんです。
内容的には星の巡礼の後日談ですけど、だからこそ今このタイミングで読めてよかったかもしれません。
初めて『アルケミスト』『星の巡礼』を読んだ時の気持ちを思い出して、
また自分のやるべきことに打ち込みたい、と思った所存です。

 
posted by ひづめ at 01:20| Comment(0) | 書籍/映画